男の子2人のお母さんから、聞いたお話です。
上の子が保育園に通っている頃のことなんです。
夕ご飯を家族みんなで食べていたら急に上の子が話し出したんです。
「僕、前は戦争に行って大変だったんだ。(日本から)他の国に連れて行かれた。○○◎◎という名前だった。戦争で大変で死んじゃった。それで弟がいたんだけど弟も戦争に行ったから心配したんだ。大丈夫だったかなあ。弟の名前は○○△△っていうんだよ。」
あまりに、はっきりと話し始めたのでお母さんやご家族は驚かれたそうです。
ですが、「そうなの」「それは大変だったね」「怖かったね」「悲しかったね」と気持ちを思いやるように声を掛けたそうです。
お父さん、お祖母さんやお祖父さんもお母さんの言葉に続くように、いたわりの言葉を掛けてくれました。
大きな声でひとしきり話終わると、また夕ご飯を食べ始めました。
次の日の夕ご飯の時も、その話をしてくれました。
もちろんご家族は、気持ちを受け止める労いやいたわりの言葉を忘れません。
そのお話が何日か続いた後、パタリと話をしなくなりました。
「分かってもらって安心したのでしょうか。」
お母さんは笑いながら、そう言います。
「名前を言っていたので覚えてあげれば良かったのですが、うなずいて声を掛けるのに精一杯で。忘れてしまったんです。でも、日本人の名前でした。」
急にお話をされて、それも作り話の様にも、どこかで覚えた物語の様にも取れる内容です。
それを、子供がお話しているのだからと驚き戸惑いながらも否定せず受け止め聞いている。
更に共感の気持ちを向けて。
~赤ちゃんはお母さんを選んで生まれてくる~
そうお話してくれる子供たちは沢山います。
このお母さんとご家族だからこそ、選んで生まれて来てくれたのだと思いました。
家族が揃い1日の出来事をあれこれとお話しながら夕ご飯を食べること。
当たり前のように見える日常の風景ですが、それが叶わなかった時代が少し前の日本にもありました。
良く笑うお母さんのお話を聞きながら、家族の幸せはここにあるのだと教えて頂きました。