私の次男のお話です。
3歳になったら、お腹の中の様子を聞いてみようと決めていました。上の子供たちが話してくれた経験があったからです。
5歳と1歳のきょうだいがいる日常の中で、次男との時間を作るのは難しくなかなか2人きりになれません。テレビやおもちゃの音のない静かな環境もありません。
そこで、車で出かけることにしました。
次男と二人きり。こんな場面は、普段は病院受診の時くらいです。次男はテンション高くワクワクと興奮ぎみ。何が始まるのかと待ち構えているようです。
(ごめんね。お話をするだけなの)
(でも、こんなふうにゆっくりと2人で話をすることないよね。)
(もっと、1人1人との時間を作ってあげなくちゃ)
いろんな気持ちが上がる中、道の端に車を止めました。(田舎なので車はほとんどこない)車のライトの灯りに凍った雪が見えます。
次男は、何が始まるのかと不安そうな表情に変わりました。
~ねえ、お腹の中のこと覚えている?~(いきなり!)(急にきいちゃった!)
「水がある。あったかくておよいでいた。ふわっとして。気持ちいい。オレンジなんだ。でもオレンジじゃない。暗いオレンジなんだ。」楽しそうに嬉しそうに話してくれました。
聞けた私はワクワクします。(水あるよね。羊水。泳いでいる。わかるわかる。)(双子が入っていたお腹に一人でいればのびのびよね。)(オレンジ?)
(聞けたし)~早く帰ろうか?~
帰り道、次男にいろいろ話しかけますがうわの空。家に着くなり、すごい勢いで車から飛び出し家中を何か探し回りました。
「これだよ!この色だよ!」
喜びが爆発したように興奮しています。
指差しているのは、お菓子の空き缶。
オレンジ色と茜色と、夕日の沈む暗さとが混じる模様。
(この色!この色を教えたかったんだね。分かって欲しかったんだね)
他の家族は、その場面を見ていても意味が分からなかったでしょうね。でも、2人にはお腹の中にいた時の気持ちを共有する特別な意味ある場面でした。
お腹の中は、気持ち良かったんだね。お母さんもね、お腹の中でけられたりすると、すっごく気持ち良かったよ。
胎動は本当に幸せをくれました。2人が体も心も繋がっていた時間。その時の記憶がその後の育児を支える思い出になりました。